【東洋医学の魅力】
一言で伝えるならば、 「見えない力も利用する医学」。
東洋医学は、体の中をめぐる「気・血・津液(水)」のバランスを整える医学です。
西洋医学でも血液や体液の流れは重要視されますが、「気」という目に見えない存在については、あまり重視されていない印象があります。
一方、東洋医学では、その“見えない気”をとても大切にしており、2,500年以上前からその調整に取り組んできました。
「気ってなんとなく聞いたことはあるけれど、よくわからない」——そう感じている方も多いのではないでしょうか。
東洋医学では、この“よくわからない気”を、まるで目に見えるもののようにとらえ、体と心の調和を整えるために活用しています。
このように、心と体のバランスにアプローチできるのが、東洋医学の大きな魅力なのです。
◆「気」にも種類がある?
実は、「気」とひとことで言っても、東洋医学にはいくつかの種類があります。それぞれが異なる働きを持ち、私たちの生命活動を支えています。
・元気(げんき):生まれながらに持つ生命のエネルギー。加齢や過労で少しずつ減っていくとされます。
・宗気(そうき):呼吸や食事から得られる気で、心肺の働きや声の力に関わります。
・営気(えいき):栄養を運ぶ気。血とともに全身をめぐり、臓腑や筋肉を養います。
・衛気(えき):外から身を守るバリアのような気。皮膚の表面をめぐり、風邪などから守ってくれます。
これらの気がバランスよく巡っていると、体も心も健やかに保たれますが、どれかが弱くなったり滞ったりすると、不調として現れます。
◆気の不調はどう現れる?
「気」の乱れや不足は、私たちの体や心にさまざまなサインとして現れます。
たとえば、次のような症状が見られることがあります:
・朝から疲れていて元気が出ない(→元気の不足)
・動くとすぐ息切れし、声に力がない(→宗気の弱り)
・体がだるく、食欲がわかない(→営気のめぐりが滞っている)
・風邪をひきやすく、冷えを感じやすい(→衛気の弱り)
このようなサインが現れたとき、東洋医学では「気のバランスが乱れている」ととらえます。
気の不調は、無理をしすぎたり、ストレスが続いたり、季節の変わり目などでも起こりやすくなります。
だからこそ、小さな不調も「気の声」として受け止め、早めにケアすることが大切なのです。
東洋医学の考え方を知ることで、普段の体調の変化にも優しく目を向けられるようになります。